百本の糸
- erico tsumori
- 8月15日
- 読了時間: 2分
『道すがら』を開いて、三ヶ月が経つ。
印刷した百冊が終わろうとしている。
手もとに置けて
気づいたことを調整できて
様子をみながら伴走できる
そんな現実的な理由から、百冊はちょうどよい数でした。
手にしてくださる方は、友人や知人であったとしても
そうでなくても、ふたつとない縁に思えて本当に有り難いものでした。
久しぶりの方とは〈再会〉というよりむしろ、
はじめましてと、古くからの線上に出逢い直すようでした。
手にもつ本は思った以上に重量があり、なるべく郵便局へ持ち込みました。
職員の方と顔馴染みになり、交わす言葉に背景を感じるようになりました。
お隣さんと距離のある町の暮らしに、灯がともる。
*
封を折り、言葉を添えて、包んで手渡す。
なんてさいわいな日常だろうと、時折り帰り道に涙がこぼれた。
こんな有難さは、何処にでもあるわけではない。
けれど、思い返せば同じことを二十年前もやっていた。
そうか、三十年前もやっていた。
いや、四十年前も。
きっともっと前からずっと、状況がどうあれ
その時、その場で同じことをやっていた。
いつかの記憶は、いま生きていて、
忘れた記憶も、いま生きているんだろう。
自分の意思よりおおきな巡りの中で
みんなそれぞれ、本能のように携えている。
本能という、縦と横の糸を織り合う 自然の理 を携えて。
この百冊を取り巻くいかなる縁も、際限ない織りのうえ。
感謝。
自分には本のことがよくわらずに
寄せていただく言葉を束ねるように、この本を受け取っています。


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『道すがら』 play of praying - sounds in silence -
¥2,300(税込・送料込)
発行|2025年5月13日
企画・編集・構成・デザイン|佐伯 剛 津森 絵理子
写真・言葉|津森 絵理子
発行所 かぜたび舎
210mm × 265mm
136 pages(言葉 44ページ・写真 92ページ)
*お問い合わせ等は、こちらのメールアドレスにお願いいたします。
mail : elliet1103@gmail.com
津森絵理子
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A book is born.
Some once told me that making a book is like becoming a bridge.
Not to be defined, but the pleasure of being a bridge.


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