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本という橋

  • erico tsumori
  • 6月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月28日

 

 

今日あることは、すべてのお陰さまに他なりませんが、 ありがたく腑に落ちながら、同時に奇跡のようでもあります。

依る辺なく感じていた自分に通ずる何処かの誰かに、 声のようなものをかけられたらと、長い間思っていました。

けれど、私はベストプラクティスを持ち合わせているわけでもなく、 解も、その道のりも いのちの数だけあります。

いただくご縁の上に自分にできることをしながら、 その先にいるかもしれない誰かのことを思っていました。 そこにはもちろん、自分自身も含まれます。

"何をもって" を探りながらも、 “何か” を語ると ”何か” になってしまいそうで、 同時に別の “何か” を排除してしまいそうなあやうさに 何も語れないような、何も語りたくないような気持ちがありました。

 

 

そうしたなかで 「本をつくることは、橋をかけることでもあります」 と声をかけてくださった佐伯剛さんの言葉は、 希望で、滋養で、本当にありがたいことでした。

いつかの何処かの、誰かのもとに架かるかもしれない橋は、 私のHOMEに架かる橋でもあって、 見えない "へその緒" を辿るようなことでもありました。

一冊の本になるまで、ひたすら伴奏くださった 佐伯さんの懐の深さに頭が上がりません。

 

佐伯剛さんは、雑誌『風の旅人』(2003-2012 No.44号で休刊)の発行人・編集長でおられますが、人生を通して、長年にわたりあらゆる境を越えて各地の古層を訪ねる旅を続けていらっしゃいます。

脈を辿り、機微をよみ、永い日々の痕跡とその源泉から、いま生きる智慧を見い出し、(種を超えた)私たち自らの古層に湧く多様な声なき声と、その可能性を呼び起こされています。

先日、『道すがら』を手に取ってくれた友人が、“私の内側からも、もくもくと言葉が出てきた” とメッセージをくれました。

世界は玉虫色で、映り移ろい虚ろいます。自分の心さえ確かには捉え難い。それでも、こうして"もくもく"と出てきてくれた、二つとない言葉の珠を、本当に有り難く思います。

さまざまに織り合う縁が、何処かの誰かのお手元へわたることがあればと思います。ㅤ

 

——

嘘いつわりのない

そのままの ありのままの

水みずしい 言葉は

人の心を解いていく

 

どうしてだろうか

何者かになろうとしている人からは

絶対に出てこない

質感を持っている

 

世の中に溢れている「ありのまま」のほとんどは

空言葉のように感じてしまう

 

カサカサで表面だけをサッと攫っていく

そんな言葉に疲れてしまった心に

ふわりとした微風のように

しっとりと柔らかい水のように

入り込んでくる

 

乾いている言葉は物事を切り取っていくけど

潤っている言葉はあらゆるものと一体となっていく

 

えりこさんの本

「道すがら」

可愛らしい印象のタイトルには

彼女の控えめで柔らかな在り方が透けて見える

 

でも

彼女の紡ぐ言葉からは

彼女の写す世界からは

あらゆるものの垣根を超えていく力を

感じさせられる

 

*Norikoさんの投稿より

 


--------------

 

『道すがら』

sounds in silence - play of praying -

A book is born.

Some once told me that making a book is like becoming a bridge.

.

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